言語の作成

空間に残る匂いの痕跡を言語に

1時間前に50kgくらいの栄養状態のいいオスの肉食獣が待ち伏せしていた

香草の潰れた匂い

1kgくらいの草食獣の血の匂い

その草食獣の匂いに重なって複数の幼い動物の匂い・・ミルクの匂いが混じっている

湿った草むらで潜んでいる肉食昆虫の匂い

草の葉の裏で無心に草を食べ続ける幼虫の匂い

ところどころに場違いな鉄と硝煙の匂いの痕跡

コンデンサーが焼けるような匂い

焦げた電子基板の匂い

特定の狭い範囲にオゾンのような匂い

これらを一枚の絵のように俯瞰する。

そのなかに一筋のストーリーを見つけようとする

複数のストーリーが混在している

船の生活

Yはまず船の食事係を命じられる。揺れる船の上でも飯は食わないと行けない。穀物の粉をねったものを薄く伸ばして、かまどの側壁に貼り付けて焼く。これだと、釜に水をはらないので少々揺れてもなんとかなる。実際の倭寇が何を食べていたのかは資料がない。拠点になる島で穀物を炊いたり、引いた粉を丸めて蒸したものを携帯食に持っていったのかもしれない。常習的に半島や大陸の海岸のむらを訪れたり襲ったりしていたから、それらの村の習俗は用意に取り入れられたであろう。

倭寇の話

Yはふとした行違いから人を殺めてしまい、漁船を用いて離島への隠遁を企図する。ところが予想外の嵐に遭遇し流されている所を外国の大きな船に救助される。乗船している者たちはYの知らない言葉を話すものたちばかりだったが、一人だけ日本語のわかるものがいる。船は中国人の船長の率いる海賊船で、朝鮮半島や明の沿岸を渉猟しては強奪や非合法の貿易を行っていた。Yは生きるために海賊の仲間となって働く。日本語のわかる船員から、行方不明になっていた姉が誘拐されて海外で外国商人と暮らしていることを知る。

丸地苑

曽湖の周囲では丸地苑(マルジオン)が花盛りだった。ハナバチがせっせと蜜を集めている。目立たない小さな花だが多数が固まって咲くと季節外れの霜が降りたようにも見える。釣りの成果はさっぱりだが湖水の透明度が美しく気分転換にはいい遠出だった。