SIRT6

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SIRT6は寿命に関係する遺伝子である。ヒストンの脱メチル化により遺伝子発現を負に制御する。マウスではSIRT6がないと生まれて数週間で死亡する。マカクサルでSIRT6を欠損させたところオスは胎児死亡、メスは生まれて数時間で死亡した。胎児は通常の6か月の妊娠期間でも3か月の胎児程度にしか成長しておらず、とくに脳の成長が抑えられていた。このメカニズムのひとつはH19のコントロールではないかと示唆されている。H19はlong noncoding RNAをコードする遺伝子だが、SIRT6がないとこのRNAの発現が過剰になる(ここのところはNews & Viewsの解説がちょっと混乱しているが図解の絵の方がただしい)。SIRT6の作用している遺伝子はほかにもあるはずだ。マウスとサルとで遺伝子の作用の規模というか範囲が異なると、今後ますますマウスの実験の解釈に注意が必要だ。問題はサルの実験だと金と時間がかかることだ。金持ち中国には逆らえない日が来るのかもしれない。