「久しぶりに夢を見たよ。」
「どんな?」
「昔つきあっていた子のうちに久しぶりに呼んでもらう夢。」
「ふーん、最近思い出すようなことあったの?」
「いや、ないんだけど。猫の頭をなでながら寝たからかな?」
「何なのその猫?夢喚起猫?」
「いや、冗談さ。小さな町の3階建てのビルの上の階にその子のうちはあって、中に入ると壁いっぱいの書架に本がいっぱいなのさ。」
「実際に行ったことあるの?」
「ないな。本当はつきあったともいえないくらいの浅い関係だね。」
「それで、その夢の何がいいわけ?」
「本棚の本が自分が昔読んだ本ばかりで、好きだったマンガまでそっくりそろっているからだよ。」
「その子とは趣味がおなじだったのかな?」
「どうなのかなあ?見ているうちにうれしくもあるけど、その子が帰ってくるんじゃないかと気が気じゃないんだ。なぜか内緒でお邪魔してるんだよね。」