フィクション

2円

夢でよく行く鄙びた温泉にまた行く。フロントで「今度眼底占いが2円でできるのでぜひやってください」と言われ受けることに。暗い眼底カメラを覗くとうす赤い字で「未来を見つめて」と書いてある。暗さに慣れてきたところでピカっと一瞬光って終わった。プリ…

ログ

「あなたの意識は応答していません。強制的に終了しますか?」とダイアログが出て、「はい」を押すとその時点で意識がとんだ・・なんてね

カロリーだけは一流

くいしんぼうで肥満体の特殊工作員のお話。任務の途中でも美味しそうなものをみつけるとついよってみたくなる。世界各地のグルメを任務のついでに食べ歩き。きっとゴルゴ13とは全く異なる味わいになるだろう。一話の終わりには「本日の摂取カロリー5200kCal…

AI人工肛門

本物の肛門は中身が便かガスかを判別してガスだけを逃がす知能がある。残念ながら現在の人工肛門はただの穴をビニール袋で抑えているだけだ。そこで内容判別力を備えたAI人工肛門の開発に着手した。畳み込みニューラルネットワークを用いて教師付き学習を繰…

住民

A県はくまに住民票を発行することにした。本籍地を「やま」にしてむやみに都市部に出ないよう促す。首にICチップをうめこみ、首をこすりつけると甘いアメが1日1個だけでてくる個体確認ポストを山に配置する。アメでは腹が満たないので山でご飯を探すしかない…

宇宙最大のピンチ

「船外活動てしたことある?」 「ないけど、小型ビークルで部品の点検に回ったことくらいかな。」 「活動の時間はだいたい決まっているから、せいぜい1時間とか2時間で帰るでしょ?」 「そうなるよう努力するね。酸素も予備がもたないし。」 「それでさ、ミ…

空母

多数のドローンを積んで飛んでいき、ドローンを戦域にばらまいていく空母ってどう?ドローン自体は滑空して送電線とか重要だけど脆弱そうなとこに取り付いて自爆する。1000機くらいばらまかれたら掃討が大変と思うが。

かいもの

「リストのもの買っておいてくれた?」 「買えるものはね。牛乳とかオートミールはいいけど、このミールワームっていうのはちょっと唐突じゃないかな?」 「そう?でもペットショップでは普通にうってるわよ。」 「スーパーに寄ったあとにペットショップを回…

りゅう

りゅうに会いに行く。りゅうといってもドラゴンではなく大きなムカデのような節足動物だ。この季節には休眠の準備に入っているが、からだがおおきいので昆虫みたいにすぐスイッチオフにはならない。「ねえ、りゅう、いいことあったかい?」「とりあえず体調…

ファンタジー1

フクダ ケンスケのところに届いた知らせは茶色の封筒に見慣れない切手がはられていた。 「日本郵便のオーダーメイドデザイン切手か、手が込んでいるな」と思いながら開けると、異世界就職集団面接へのご招待、とある。あまり期待もしないで読み進めると「リ…

正論機

正論を蓄えて置くだけの機械。なにか聞くと正論をどうどうとぶちまける。

日本防衛党

「代表質問にうつります。日本防衛党、諸干段君」 「近隣諸国の軍事支出を鑑みまして、我が国では厳しい財政事情から最も効率のよい防衛手段を取るべきであります。この点について首相のお考えをお聞きしたい。」 「お答えするその前に質問者の服装について…

自分の半分

寝ている間に背中から自己の成分が流れ出し巨大な魔物となって手当り次第に破壊を繰り返す。抜け殻となった自分はハラハラしながら眺めるがなすすべがない、曙光とともに魔物は萎縮してまたおとなしく自分の背中に吸い込まれていく。目覚めてからの自分には…

鉛筆とメモだけがガランとした部屋に残されていた。今月末が契約満了なので合鍵を持つ彼はまだ部屋に入れた。メモには見慣れた字で”元気でね”。終わりにはハートマークなんか描いてある。さあて、どこを探してみようか?二人でいったことのあるとこは避ける…

打ち寄せる波は溶岩の岸を洗う。広がる空はこの世の広さを再認識させる。 そう、夜ともなれば君の見る星空は同じはず・・同じ半球にいればね。

いつまでも忘れないよ。たとえもうあえなくてもね、と彼女は思う。 そうじゃないんだ。思い出の中に生きたいんじゃないよ、と彼は思う。

あなたが何をしようともう決めたことだから・・、と彼女はいう。 そう、でもこの惑星のどこに移住しようと探し出す方法はあるんだよ、と彼は思う。

エオリア

エオリアは仮想空間にのみ存在する国家だ。太平洋のサンゴ礁の国家ツバルは国の水没を危惧して仮想空間にも国家を作成したが、エオリアは最初から仮想空間にしかない。国土はないが国民と憲法はあり、いっぱしに税金もとる。税金はサーバーの維持に投入され…

シート

「ペットのトイレ用の消臭シートってあるじゃない?」 「あるね。それが何か?」 「それをU字型に切って洋式便器の下にしくようにしたらどうかな?」 「ペットも人のトイレでおしっこさせるってこと?」 「いや違う。いつまでたっても座りしょんべんしないお…

コソアド

ヌトリダテコは周辺の友好的な部族と同盟を結んだ。これをコソアド同盟という。ソアドというのは「痛みを覚える・苦労する」を意味する「ソアル」の未来形で、「ともに苦労しよう」を意味する。同盟は秋の行事として4人乗り手漕ぎボートによる川登り競争を行…

ヌトリダテコは3000キロを超えるテコ川の流域に船団を送り出し重要な拠点を確保した。船は幅の狭いバイキングの船のような形でこぎ手が協力してこぐことで急流でも遡上できた。重要な支流ごとにヌトリダ〇〇といった拠点都市が増えていった(嘘です)

約束

ヌトリダテコはテコ川流域の物流を支配する勢力に成長した。それを支えたのが上流域の砂鉄と森林を支配できたことだ。鉄の貿易は周辺の部族との関係を支配した。信頼関係のある相手にしか高品位の鉄を渡さなかったからだ。鉄の取引は海外へと広がっていった…

お告げロボ

「このメッセンジャーロボは毎日適当な言葉を吐きます。」 「例えばどんな?」 「ああ・今日もまた生活のためのくだらない一日が始まるのか、とかとにかくネガティブな言葉です。」 「それって最悪なんじゃないの?そんなの買う人いるの?」 「それなんです…

呪い?

「もしもしSさんですか?ほかに頼る人がいないんでお願いしますよ。呪いを解除してください。さもないと訴えますよ!」 「は?何のこと?ナニが小さくなるとかいうこの間の話?」 「違うんです。兄が入院し、親が骨折し、猫が腹をこわし、車が廃車になり、株…

解除コード

「もしもしSさんですか?もし覚えていたらあなたのかけた呪いの解除コードを教えてほしいんですが?」 「は?何のこと?」 「以前いたずら電話を掛けた時にあなたが”この電話でお前に呪いをかけてやる。お前のキ〇玉は今後3年で蟻のめんたまのサイズに縮む。…

再建

高波で壊滅的な被害を受けたヌトリダテコの住民たちは戻ってきたあと”神殿”の建設に取り掛かった。島の中心部に石の丘を作りそれを取り巻くらせん状の道を作ったのだ。この道は年輪を象徴しており毎年少しずつ伸ばされた。それとともに中心部の丘の石積みも…

猫のお散歩

猫にハーネスをつけて散歩にいく。虫とか動くものに気を取られてまっすぐ歩けない。酔っぱらいの千鳥足のようなもの。

渋谷のフクロウ

渋谷区はSNS上でネズミが多いとの意見があることを受けて弘前市からフクロウを導入する計画である。猫だとごみ箱をあさってしまう恐れがあるがフクロウならそれはないだろうという見込みだ。青森のリンゴ園で育った雛を譲り受けて渋谷に居つかせようという計…

ガラスのくつ

砂浜で片方だけのガラスの靴を見つけた。小さなくつだ。こんなくつが似合う女性はどんなかわいい人だろうと想像する。人魚姫が変身したのだとすると本体は竪琴アザラシ( の赤ちゃん:調べたら親は結構大きかった)くらいのサイズだろうか?砂浜ではハイヒー…

洗浄

魂の浄化を自力で行う能力が低下した。このままでは魂に毒がたまって大変なことになる。仕方がないので定期的に「御霊洗い」を受けることになった。指定のボックスに入って中から鍵をしめ、魂の抜けた間に身体損傷を受けないように防御する。魂が抜かれると…